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「カリスクリニック」 大阪市北区梅田2-4-37 4-5F
第8回:フェイスリフト
 

私は、日本美容医療協会(JAAM)の相談室でも回答していますが、先日 Lateral SMASectomy というフェイスリフトの手術についての質問がありました。 Lateral SMASectomy(外側でのSMAS 切除法とでも訳しましょうか) という手術法は別名Short Scar Face Lift (短い傷跡のフェイスリフト)とも名付けられ、New York の Daniel Baker という有名な美容外科医が始めた手術で、世界中でかなりの美容外科医が採用している手術法です。 この手術で彼が目指したのは、短い傷跡でもSMASを処理するフェイスリフトです。お断りしておきますが、短い傷跡といってもミニリフトではありません。 昨年の形成外科学会に招待され来日しましたが、フェイスリフトなどの手術についてお話しすることができました。 彼は元々マイクロサージェリーで切断した指をつないだりする形成外科医として有名でした。20年近く前に、New York で彼の行うフェイスリフト手術を見せてもらった時に感じたのは、出血が少ない綺麗なものでした。 さて、フェイスリフトについての相談や質問で、keyword になるのが、SMASとリガメントという言葉です。 フェイスリフトの歴史は、皮膚だけの処理に始まり、SMAS、リガメントと深く、そして口角近くをしっかりと引き上げる方法へと進歩してきたわけです。 SMAS の取り扱いかたに違いがありますが、操作する土俵は同じもので、目的は法令線(鼻唇溝)の外側からフェイスラインにみられるたるみの改善で、より効果的に長持ちさせる工夫ということになります。 効果を高めるには、できるだけ法令線近くを引き上げる、あるいは引き上げの邪魔になるリガメントを切断したうえで引き上げる、といった内容になります。 以上のことを整理しますと、SMASを扱わない皮膚だけのフェイスリフトというのはまず無いと思いますので、すべてSMAS法ということになりますが、SMASを耳の近くで引っ張っても効果はなく、口角方向へ剥がし、その過程で引き上げの妨げになるリガメントを処理し、吊り上げたSMASを強固に縫合固定するのが最も効果的ということになります。 逆の言い方をすると、ミニリフトで耳の近くだけで引っ張ってもあまり効果を期待できないことになります。

(2008年5月8日) 


第7回:「ボディジェット」導入
 

長崎大学形成外科で10年間形成外科を勉強した後、平成元年から白壁美容外科という老舗美容外科で働くことになりました。白壁美容外科は、フェイスリフトと脂肪吸引については日本でのパイオニアでしたから、私も多くの手術を経験し、学会発表や論文執筆もしました。 しかし、3年前にカリスクリニックを開院してからは、入院室を持ちませんので麻酔の関係で脂肪吸引をあまり行っていませんでした。 脂肪吸引の効果を知っていますので、脂肪溶解注射では中々満足な結果を得られません。 カーボメットやスマートリポなども期待された効果が得られないため、使われなくなっています。 今回導入したボディジェットというドイツ製の機械は、局所麻酔剤でほとんど痛み無く、手術が終わればそのまま歩いて帰宅できるという画期的なものです。また、患者さんに喜んでもらえるのは、従来の脂肪吸引と比べて術後の腫れ、硬さ、しびれが少ないことです。 勿論、副作用や後遺症の発生頻度が格段に低くなり、安全・安心な脂肪吸引と言えます。 ジェット水流で脂肪細胞の塊を粉砕してバラバラになった脂肪細胞を無理なく吸引する方法ですから、むら無く皮下脂肪の減量ができます。 ですから、これまでの方法では凸凹になるから脂肪吸引ができないと診断されていた、比較的皮下脂肪層の薄い患者さんの要望にも安心して応えられると思っています。 学会発表や論文を読み、手術を見せてもらい、そして自分で使ってみて、良さを確認したうえで導入を決めました。 40年前にフランスのパリで始まった脂肪吸引ですが、カニューラと呼ばれる器具の改良、ツメセント法という麻酔法の進歩、超音波の利用というふうに進歩・発展してきましたが、ボディジェットの出現でまた新しい時代を迎えたと言えるでしょう。 この素晴らしい道具を効果的に、そして安全に使うために、これまでの脂肪吸引手術の経験を生かして、患者さんの要望に応えられるようにしたいと思います。

(2008年3月24日) 


第6回:アメリカの美容外科事情
 

 2006年一年間に米国でフェイスリフト手術を受けた患者数が138,000人、おでこのリフト手術を受けた患者数も54,000人にのぼったとデューク大学メディカルセンターが発表しました。
調査内容の興味深いところは加齢で起こる顔面骨の変化で、頬骨の張り出しが減っておでこが前に出ることを認め、おでこのリフトを受けると骨が前に出るのを防げるかどうかを今後追跡調査したいということです。
ここで言うフェイスリフト手術は、勿論それぞれの美容外科医で手術内容は違うはずですが、日本の怪しいクリニックで行っているような腫れない一時間もかからないまやかし手術ではありませんので、全身麻酔や静脈麻酔で2〜4時間くらいのしっかりとしたリフトです。
私が所属するアメリカ美容形成外科学会(The American Society For Aesthetic Plastic Surgery)は、形成外科および美容外科の専門医だけの学会ですが、米国国内で診療をしている美容外科医が2000人くらい所属しています。
最も多い都市がニューヨークで80人のメンバーが働いています。 勿論、この学会のメンバー以外の美容外科医もいますので、何人くらいになるのでしょう。
ニューヨークにある「マンハッタン耳・喉病院」は、美容外科の殿堂というかデパートのような所で、複数の超有名な美容外科医が毎日手術をしています。
私が見学に行ったときも、10室くらいの手術室でそれぞれの美容外科医が、併行して手術をしていました。勿論、フェイスリフトも数例行われていました。
患者さんは、美容外科医に手術代を払い、麻酔医に麻酔代を払い、病院に手術室使用料と入院費を払います。15年くらい前ですが、美容外科医に支払う手術料だけで日本円で400万円くらいと言ってました。
別の機会に、若い美容外科医から聞いた時は、数十万円と言ってましたので手術費用には大きな開きあるようです。

(2007年12月25日) 


第5回:第30回日本美容外科学会総会
 

 10月6,7日と札幌で開催されましたが、昼間は15度くらの気温で、朝夕も清々しい気候でした。
大学医学部の形成外科教室が教授を筆頭にして本気で参加するようになり、参加者数がどんどん増え、発表や討論の質も一層充実してきましたが、今回はライブの手術や手術映像を多く盛り込んだ発表で実り多い学会でした。
私は下瞼からホウレイにかけての若返り手術を報告し、4人の先生方と討論をしました。下眼瞼については、ハムラ法を利用して良い結果を出している先生が多く、皆それぞれ一工夫されていました。
また、私が司会をした隆鼻術の討論では、プロテーゼと軟骨移植の使い方について討論しました。鼻根から鼻背を高くして鼻筋を通すのはプロテーゼで、鼻尖では鼻翼軟骨の操作と軟骨移植というのが原則になるという意見が大勢を占めたと思います。培養軟骨による方法も報告され、限られたクリニックでしか実施できませんが、安定した実績に対する評価も確立されてきたようです。
フィラーと呼ばれるヒアルロン酸などの問題もテーマとして取り上げられ、アクアミドなどの非吸収性物質の弊害や乳房へのヒアルロン酸注射の問題点について報告されました。
現在、日本美容外科学会という同名の学会が二つあり、それらはかなり性格の異なるものです。一つは私たちが参加している学会で、形成外科医であることが条件になり、今では大学医学部の教授もかなりの割合で加盟しています。広告を自主規制し、危険性の予想されるアクアミドなどを使わないクリニックのグループという面で見分けると分かりやすいかもしれませんね。
もう一つの学会は、チェーン店などが中核をなすグループで加入にあたっての制限はないようです。
二つの同名学会が存在することは、一般の人たちの混乱や誤解を招くこともあり、何とかならないだろうかということが長年の懸案事項であり、今回の理事会でも討議されましたが、「水と油」のような考え方の異なるグループであり解決にはほど遠いようです。

(2007年10月16日) 


第4回:自己多血小板血漿注入療法
 

 ACR(Autologous Cell Rejuvenation) とか PRP(Platelet Rich Plasma)療法とも呼ばれます。 先月、「たけしの本当は怖い家庭の医学」というテレビ番組で放送され、問い合わせの電話や治療を希望される患者様が増えています。出演された先生のクリニック(東京)では、年内の予約が一杯だそうです。 この治療法は患者様自身の血液中に存在する血小板の働きを利用して肌の張りを作り、たるみやシワを改善するもので、進歩の著しい再生医療の研究成果を利用した新しい治療法です。怪我で出血したときに血を止めるために血小板が働くことはご存じだと思いますが、この時同時に傷を治すために数種類の成長因子を分泌します。この成長因子が、細胞増殖、血管の新生・修復、コラーゲン産生、ヒアルロン酸産生を行い、肌を若返らせるわけです。 治療の手順をご説明いたします。下瞼とか口元といった部分的な範囲ですと、8cc の静脈血を採取し、治療部位に麻酔クリームを塗って30分くらい休んでいただきます。その間に血液を遠心分離器で血小板を含む血漿に分離して注入の準備をします。注入は3分程度で終わります。15分程度少し熱い様な軽い痛みがあります。注入後の腫れは2日くらいで無くなります。皮下出血が部分的に起こることがありますが、お化粧で隠せますし、2週間くらいで消えます。効果は徐々に現れ、2〜3ヶ月経過した頃に最大の効果が現れます。その時の状態は、患者様自身の5〜10年前の肌の張りを取り戻しています。若返った肌は、年月の経過で、また少しずつ張りを失ってくるはずですが、治療後のお肌ケアによって長持させることできます。何よりも、ヒアルロン酸などでボリュームを出したり、糸で引っ張る治療と違い、肌自体が張りのある若々しさを取り戻すこと、患者様ご自身の血中成分を利用する安全性が最大の長所と言えます。 自己多血小板血漿注入療法を始めて半年以上になりますが、患者様の満足度は高く、顔の状態が良くなったので次は頸などと他の部位の治療を希望される方も増えてきました。 サーマクールで治療されていた患者様がフェイスリフトを希望されたのですが、自己多血小板血漿注入療法をお勧めして施術したところ、サーマクールよりずっといいみたいと喜ばれました。この患者さんのフェイスリフトは何年か先のことになりそうです。 注入花盛りの時代ですが、自己多血小板血漿注入療法で肌の張りを取り戻したら、ヒアルロン酸の必要性は減ってきて、より自然で綺麗な若返りを手に入れることができるでしょう。

(2007年8月20日) 


第3回:美容外科学会
 

 美容外科学会(JSAPS)出席のため富山市に行ってきました。14(土)早朝に出発して、阪神高速、名神、北陸道とおよそ400kmを台風4号に追われるようにして、豪雨のなか4時間をかけて走りました。
植毛、たるみ取り手術、乳房形成術、自己多血小板血漿注入、スレッドリフトと盛りだくさんの発表がありました。今回は発表しませんでしたので、皆さんのお話をゆっくり聞いて、討論に参加させてもらいました。美容外科クリニックの先生のほか、総合病院や大学病院の形成外科の先生方の発表もたくさんありました。若い先生方が増えて、私も十分に中堅層になってきたのを感じました。
学会発表というのは発表者のこだわりを感じるもので、採用してみたい方法もあれば、賛同しがたいものもあります。自己多血小板血漿注入療法は私も半年前から行っていますが、患者様自身の血液成分を利用する再生医療の手法として良い方法だと思います。
富山は初めてでしたが、ホタルイカを初めとする富山湾の魚介と黒部・立山の入り口として有名な所です。「寒ブリ」で有名な氷見の温泉旅館に泊まってみました。季節柄ブリは出ませんでしたが、新鮮なお魚を堪能することができました。朝食も漁師料理ということで、取れたてのお刺身からお煮付け、お味噌汁と絶品でした。
帰りは、世界文化遺産になっている合掌造りの五箇山と白川郷を訪ねました。白川郷は30年ほど前にも訪れたことがありますが、随分と印象が違っていたのは、単に記憶が遠くなってしまったからでしょうか?私的には、駐車場に車を置いてエレベーターで下がり、町並みを歩く五箇山の方が、こぢんまりとはしているけれど雰囲気は好きでした。
勉強をして、観光でリラックスした海の日の連休でした。

(2007年7月24日) 


第2回:引き出しの多さ
 

 「はにかみ王子」をご存じですか?高校一年生で並み居るプロゴルファーを抑えて優勝した石川遼君のことです。とんでもない快挙に唖然としてしまいました。少し前までは、ゴルフはおじさんのお遊びだったのですが、いまでは若い人たちがスポーツとしてきっちりトレーニングを積み、すごい実力を備えてきました。
遼君のゴルフを伝える記事を読んでみると、常に攻撃的で、失敗を引きずらない気持ちの持ち方と、若干15歳にして技術的にはすでに色々な状況に対処できる「引き出しの多さ」を上げています。ゴルフは止まっているボールをゴルフクラブで打つのですが、思い通りの場所にボールを運ぶためのクラブ選択や打ち方に工夫をこらします。超一流のプロゴルファーは、状況に応じた「多くの引き出し」を備えてそれを確実に実行できるわけです。
この「引き出しの多さ」というのは、美容外科医にとっても、診察から治療方針、さらには手術で綺麗な結果を出すうえで大切なものです。ワンパターンの手術しか知らないと、うまくいくこともありますが、良い結果を得られる確率が低くなったり、失敗を起こしてしまうこともあります。インターネット上の相談、掲示板などでよく見られるのは、美容外科医なら誰が手術しても同じ結果になるだろうという思いこみがあり、うまく行かないと修正は?と話が飛んでいくのをしばしば見ます。これはそれぞれの美容外科医の持つ、状況に応じて活用される「引き出し」の質と量の部分が無視されたために起こる結果です。
私の患者様は、初診時の話や治療方針の検討と説明、そして手術にあたってのデザインの検討で、時にはくどいと思った経験があるはずです。手術中も、切開から始まり、縫合して手術を終了するまで、極端な言い方をすれば、「私の27年間にわたる形成外科・美容外科医として蓄積した引き出し」の中身が全て動員されているわけです。
私たちがなぜ医学書や医学雑誌を読み、学会で発表したり討論し、論文を書くのかというと、全て自分の引き出しを増やし、毎日の診療でよりよい治療をしたいと思うからです。ひとりよがりではなく、客観的に見て正当性のある考えであることを確認して初めて、本当の実力になります。
そして、私にとって一番の先生は勿論患者様です。診察から手術までに私の「引き出し」を活用したうえでの結果こそが全てです。少なくとも手術後半年、本当は何年も経った時の状態までを拝見して治療内容を検証することで、使った「引き出し」の正当性が評価されることになります。
一ヶ月に一回程度のゴルフでは、とても遼君のようなゴルフの「引き出し」を作ることはできませんが、美容外科診療ではこれからも価値のある「引き出し」作りとその有効活用によって、より良い結果を求めていきたいと思います。
これからも患者様の笑顔を見せていただくために、こだわりをもって診療にあたりたいと思います。

(2007年6月30日) 


第1回:手術用顕微鏡
 

「こだわり」という言葉を良く耳にしますが、元々は否定的な使い方をする言葉でしたが、近頃は「特別の思い入れがある」という使われ方が多くなりました。もっと言えば、かなり主観的な個人の趣意を押し出す場合に使いやすい言葉のようです。
ご意見や反論はお受けいたしますが、採用はあくまで私の判断でさせていただきますのであしからず。

【手術用顕微鏡】
手術用顕微鏡というのは、学校で生物の時間に見たような形ではなく、手術する部分を拡大して細かな手術を可能にする道具です。そのため、針や糸は勿論それを扱う道具も専用のものになります。
私は今年54歳になりましたが、私と同年代かそれより若い形成外科専門医は誰でも手術用顕微鏡を使って、切断された指をつなぐ手術や遠い場所から組織移植をする場合に血管吻合や神経縫合をしました。直径1ミリくらいの血管を吻合する技術を習得するために、ネズミの血管を使って随分練習したものです。
二重まぶたの切開法や目頭切開では、手術用顕微鏡を使って手術した方が傷跡は勿論、二重や目頭のできあがりが明らかに綺麗です。
手術用顕微鏡を使って手術するには、かなりのトレーニングを必要としますので、医学部を卒業したての医師や内科とか麻酔科出身の美容外科医には真似のできない技術です。
「私は形成外科専門医でございます」、あるいは「形成外科専門医の方が上手です」と声を大きくするより、身につけた技術で優れた手術結果を出すことの方が遙かに有意義だと思います。
でも逆に、多額の広告費を使って患者さんを集め、短時間に効率よく売り上げを目指すことを至上目的にする美容外科医やその経営者にとっては、時間のかかる顕微鏡手術なんか無意味でしょうし、そんな非効率なものと笑われるでしょうね。
手術の結果を喜んでくれる患者さんの笑顔を見たいと思う私のこだわりでしょうね。

(2007年5月30日) 


2008.5.8
第8回:フェイスリフト

2008.3.24 
第7回:「ボディジェット」導入

2007.12.25 
第6回:アメリカの美容外科事情

2007.10.16 
第5回:第30回日本美容外科学会総会

2007.8.20 
第4回:自己多血小板血漿注入療法

2007.7.24 
第3回:美容外科学会

2007.6.30 
第2回:引き出しの多さ

2007.5.30 
第1回:手術用顕微鏡